ブランドデザインカンパニー「IGI」- IGI Brand Design Partner
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組織を動かす言葉のつくりかた
― ステートメント設計とは

「私たちの目指す姿はこれだ」と理念やビジョンを掲げたはずなのに、現場では誰もその言葉を意識していない。そんな「壁に貼ってあるだけの言葉」に悩む企業は少なくありません。

なぜ、想いを込めたはずの言葉が響かないのか。それは、抽象的な理想と日々の具体的な仕事の間に、「どう判断し、どう動くべきか」を示す具体的な指針が欠けているから。その指針となり、組織が一つの方向へ進むための地図となるのが「ステートメント」です。

本記事では、ブランディングの最前線に立つIGIのコピーライター・山田季世が、広告のコピーとは全く異なるアプローチで挑む、ステートメントの設計プロセスを紐解きます。

山田 季世Kiyo Yamada
Copywriter
アーティストの専属ライター、大手出版社の広告企画営業、広告制作プロダクションのコピーライターを経て、 TAKI CORPORATIONに入社。あらゆる業界のコンセプト開発からプロモーション企画までトータルに携わる。 2014年からは組織・企業のパーパスや理念策定を中心にさまざまなブランディング活動を支援。 高等学校教諭免許状(国語)取得。1児の母。

0. そもそも「ステートメント」とは何か?

企業のブランディングにおいて、「キャッチコピー」や「コンセプト」だけでなく、「ステートメント」や「ストーリー」の重要性が近年急激に高まっています。

辞書的な定義では、発言や声明を意味するステートメントですが、ビジネスにおいては「企業やブランドの理念や価値、目的を簡潔に言語化した公式な文章」を指します。

なぜ今、この公式な声明文が求められているのでしょうか。

それは、正解のない現代において、顧客や求職者がブランドの「明確な態度」をシビアに見ているから。行動と紐づいていない上辺だけの言葉はすぐに見抜かれます。だからこそ、「何をするか」以上に「なぜそれを選ぶのか」という根幹の姿勢を、地図のように明確に言語化しておく必要があるのです。

1. なぜ「美しいだけの言葉」は効かないのか?

多くの企業が抱える悩みに、「ステートメントを作ったものの、社内に浸透しない」「うまく書けているはずなのに、日々の業務に活きていない」というものがあります。

文章として美しく、表現として成立していても、それだけでは不十分です。1回読んで終わりではなく、ステートメントには以下の「3つの役割」が求められます。

・「判断基準」になる
・迷ったときに立ち返れる
・社内外で「解釈が揃う」

かつてのコピーライティングは、「いかに美しくまとめるか」「心を動かすか」という表現の完成度が重視されていました。しかし今は、その言葉が実際の「判断や行動」に直結するかどうかが問われます。ステートメントは単なる表現物から、企業の「思考のインフラ」へと役割を変えています。

2. 書くのではなく「設計」する。広告コピーとの違い

広告のボディコピーを書くのと同じ感覚でステートメントを作ろうとすると、必ず壁にぶつかります。通常のコピーライティングでは、「自分が書きやすいように、どんな情報が必要か」という視点でヒアリングが行われがちです。

しかし、ブランディングにおけるステートメント策定では、アプローチが全く異なります。IGIのコピーライターは、言葉を「書く」ために情報を集めるのではなく、中長期的に持たなければならない「機能」を抽出し、言葉というツールに置き換えるプロセスを踏みます。

これからのクリエイターには、単に「想いを語り、記憶に残る言葉をまとめる」こと以上の変化が求められています 。それは、企業側に言語化されていない葛藤を丁寧に拾い上げ、言い切れない部分をあえて仮説として立てること。そして、企業が下す決断のリスクを、言葉で引き受けること。コピーとはもはや1つの正解を提示するものではなく、「覚悟を伴う仮説」を提示する作業だと言えます。

そのため、私たちは「策定のプロセス自体をデザインする」ことから始めます。課題ヒヤリングから始まり、経営層インタビュー、社員アンケート、社員参加型ワークショップなどを経てパーパスを策定します。

これらのプロセスを経て言葉に落とし込む際には、以下の「5つのポイント」が機能しているかをチェックします。

【コピーライティングにおける5つのチェックポイント】

態度表明
何をやっているかだけでなく、何を信じ、どこに立つのかを言語化する、ブランドの“姿勢”。

正解ではなく「賭け」を言語化する
無難な言葉を乗り越え、選ばなかったもの/立場の偏りが個性になる。

理念×現実の“間”を描く
理想と現場のどちらかではなく、その間や関係を言葉にすることが信頼につながる。

説明ではなく体験
「読むもの」から「感じるもの」へ。言葉+ビジュアル+文脈で体験化するデザインを。

約束できる言葉を書く
ステートメントは未来への約束。行動に翻訳できるか?をチェックする。

3.「左脳」で整え、「右脳」で膨らます

情報を集め、ステートメントに必要な機能要素を洗い出した後、私たちは思考を「左脳」と「右脳」に分けて言葉を組み上げていきます。

左脳的アプローチ(整える)
企業の「バリュー」や「ニーズ」、そして「思い」「スタンス」といった情報を論理的に構造化し、機能として無駄なく明記します。

右脳的アプローチ(膨らます)
左脳で整えた情報に対し、クリエイター自身がインストールした企業のストーリーや、呼吸・リズムといった「パーソナリティ」を吹き込んでいきます。奇をてらったエッジの効いた言葉で目立たせるのではなく、「違いではなく、同じであること(共感)」を伝えることで独自の存在感を引き立て、読後の印象をデザインしていきます。

実際に私たちIGIのステートメントを分解してみると、この両軸で緻密に構成されていることがわかります。

分解すると…

左脳的な情報の整理だけでなく、右脳的なインストールによる膨らみを持たせる。この両輪が揃うことで、論理的に正しく、かつ企業独自の体温を感じさせる「強度の高いステートメント」が完成します。

4. インプットではなく「インストール」。AIのアウトプットとの違い

近年、「機能要件をまとめるだけなら、AIに書かせれば良いのではないか?」という疑問の声をいただくことがあります。確かに、集めた情報を「競合調査」や「自社情報収集」として「インプット」し、整理して出力することにおいて、AIは非常に優秀です。

しかし、AIが出力した言葉と、IGIが紡ぐ言葉には明確な違いがあります。それは、ブランドデザインパートナーとして深く入り込むからこそ得られる、クリエイター自身の体験による「インストールの深さ」です。

私たちは、単に資料を読み込むだけではありません。ワークショップ等を通じて社員の方々と時間を共にし、「想い/方針」や「傾向/課題」を深く読み解き、クリエイター自身の中にインストールします。

情報を整理して書き出すだけであればAIにも可能かもしれません。しかし、クリエイター自身がその企業の空気感を「体験」する時間を共有し、その体験した時間分の情報が右脳的な言葉選びに乗ることで、初めて企業の「覚悟」を宿す真の思考のインフラになります。

5. ステートメントは、完成してからが始まり

企業のステートメントは、額縁に入れて飾るために作るものではありません。むしろ完成したその日から、日々の業務の中で「判断基準」としていかに機能させるかが問われます。

もし現在、自社の大切な理念が「壁に貼ってあるだけの言葉」や「日常業務で誰も意識しないスローガン」になってしまっているのなら、それは言葉のセンスや表現力の問題ではなく、ステートメントとしての「機能」が設計されていないことが原因かもしれません。

IGIが提供するのは、耳当たりの良いコピーの納品ではありません。ブランドデザインパートナーとして御社の葛藤や熱量を深くインストールし、未来の行動を促す「思考のインフラ」を共に言語化します。

ブランドの姿勢を体現し、社内外を動かすステートメント開発にご興味がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

編集:船寄 洋之

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