ブランドデザインカンパニー「IGI」- IGI Brand Design Partner
IGI Brand Design Partner

細部まで向き合うプロセスを、積み重ねていく
Branding Planner 田中悠理さんインタビュー

大学では美学と宗教学を学び、知と身体経験の交わりについて探究してきた田中悠理さん。2024年にたきコーポレーションへ入社し、現在はIGIのブランディングプランナーとして、さまざまなプロジェクトを支えています。学問と創作を行き来してきた背景から、現場で少しずつ見えはじめた仕事の輪郭、そしてIGIというチームへのまなざしまでを伺いました。


Speaker

田中 悠理Yuri Tanaka
新潟県新潟市出身。國學院大學哲学科卒業。在学中は美学と宗教学を専攻し、知と身体経験の交わりについて学ぶ。2024年たきコーポレーション入社。ブランディングプランナーとしてIGIに参加する。 趣味は音楽制作とDJ。

現場で輪郭をつかみはじめた仕事のかたち

國學院大學哲学科の在学中は、美学と宗教学を専攻し、知と身体経験の交わりについて学ばれていたそうですが、具体的にはどのような内容だったのでしょうか?

田中:美学の領域が一番の専門でした。美学といってもとても幅が広いのですが、自分が取り組んでいたのは、これまで言葉になっていないけれど美しいと感じられている現象をどう言語化できるかということです。特に、環境の美しさについて考えていました。
同時に、学生時代はずっと音楽をやっていて、自分自身が作家として制作することもあれば、作家の友人の相談に乗ることもありました。どういうものを作ったら面白いのかを考えること自体が、自分にとっては一番の楽しみだったと思います。仕事としてまったく同じことはできなくても、クリエイティブに近い領域で関われたらいいな、という想いはずっとありました。

学生時代は学問としての美学と、実践としての創作、その両方をされていたんですね。

田中:その中でいろいろ調べていくうちに、たきコーポレーションに出会いました。特にIGIはブランディングを軸にさまざまな業界のクライアントと関わっていると知り、自分が知らなかった世界に触れられるのではないかと感じたことが、応募の一番の動機でした。

現在はIGIのブランディングプランナーとして活動されていますが、ご自身ではどんな役割だと捉えていますか。

田中:クリエイティブに至るまでのすべての事柄をケアする役割だと思っています。クライアントとの関係づくりはもちろん、クリエイティブのための情報収集や、その集め方、情報をどう編集していくかまで含まれます。現在は、プランナーとコピーライターの先輩のチームについて動いていて、議事録の作成や、アンケート・インタビュー内容をまとめた資料作成など、情報整理が主な業務です。そうした下地を積み重ねながら、これから一人立ちできるよう、日々取り組んでいます。

なるほど。現場に入りながら、仕事の輪郭が少しずつ見えてきている段階ですね。

田中:その中でも、一番刺激的なのは、アイデア出しです。デザイナーの方もコピーライターの方も、まずは考えられるアイデアをとにかくたくさん出していく。そのフェーズで、プロの方って、こんなにもアイデアを出せるんだ、と毎回驚かされます。
また、そうやって集まったアイデアや情報、コンセプトやVIといった要素が、クリエイティブの領域に昇華されていく瞬間にも、大きな面白さを感じます。制作を通して、散らばっていたものが一つにまとまり、さらにそれが人の心を動かすものになる。その凝縮される瞬間が、とても印象に残っています。

個人的に印象に残っているプロジェクトを教えてください

田中:昨年、関わらせていただいた地方都市の自治体ブランディングプロジェクトです。情報収集の一環として、市民の方に参加していただき、言葉を出してもらうワークショップを実施し、この街はどんな方向性を目指すべきかを、社内でも何度も議論しました。それまで自分には縁のなかった自治体でしたが、プロジェクトを進める中で、そこで暮らしている方々がどう考えているのか、小規模な街であっても非常に大きな魅力があることに気づくことができました。ただ知識として理解するだけでなく、人の生活や命に近いところに、直接触れられる感覚があって、そこに大きな喜びを感じました。結果的に、プライベートでも訪れるほど好きな自治体になり、自分自身も変えられたと感じています。

「なぜやるのか」を問い続けることの意味

お仕事から少し離れたところで、最近考えていることはありますか。

田中:最近は、ChatGPTのようなチャット型AIの普及によって、人が「考える」という行為そのものを、少しずつ手放していくのではないかという危機感について考えています。言語で応答するAIは、何か確からしいことを言っているように見えますが、その答えがどのようなプロセスで導かれているのかは多くの人には見えません。ブラックボックスであるにもかかわらず、その言葉自体に権威が宿ってしまう。この構造には、占いや神託が力を持っていた魔術や呪術の時代に近いものを感じます。

漫画『チ。―地球の運動について』(小学館)の世界を思い出しました。

田中:まさにそうですね。考えることがAIにアウトソーシングされ、その言葉を疑わずに受け取るようになったとき、社会は再び「再魔術化」していくのではないか。そうした流れに対して、違和感や危機感を覚えています。だからこそ、IGIが取り組んでいるパーパスブランディングのように、「なぜそれをやるのか」という根本を問い続ける姿勢には、大きな意味があると思っています。自分たちの仕事の意義を疑い、言葉の裏側を考え続けること。その行為自体が、再魔術化していく社会に対する一つのカウンターになり得ると感じています。

“イズム”が自然と伝わるチームでありたい

続いて、チームについても伺いたいと思います。IGIはどんな印象を持っていますか。

田中:妥協しないチームだと思います。どんなに小さな部分でも手を抜く人がいなくて、それぞれが自分にできることを100%以上引き出そうとしている。その姿勢で成り立っているチームだと感じています。印象的だったことのひとつは、ワークショップを行う際のスライドです。進行用なので流してしまってもいいものだと思うんですが、それでも「お客さまにとって見やすいか」「理解しやすいか」という点をかなり突き詰めて作り込んでいる。そういう細部への向き合い方に、IGIらしさを感じました。

そんなIGIを自由に表現するとしたら?

田中:「白いTシャツ」ですね。どんな人に対しても開かれていて、清潔感があり、まず安心して身を委ねられる存在だと思います。白いTシャツは、決して主張が強いアイテムではありませんが、その分、着る人や合わせ方次第で、いくらでも表情を変えていくことができます。シンプルだからこそ、そこにどんなスタイルや個性を重ねていくかで、強さにもなる。IGIには、これからいくらでも表情をつくっていける余白があると思っています。

そうした環境の中で、ご自身は今後どんな役割を担っていきたいと考えていますか。

田中:まだ漠然としていますが、「これは作るべきだ」という提案を、自分の言葉でしっかりと通せるようになりたいと思っています。時期や規模はわかりませんが、社内の上司にも、クライアントにも納得してもらえる形でプレゼンし、実現まで持っていくことが目標です。プロジェクトに帯同する中で、「こっちのほうがいいんじゃないか」と感じることはこれまでもありました。ただ、それを心の中で思うだけで終わらせず、案として形にするところまでやらなければいけないと、最近は強く感じています。

では最後に、IGIという組織が、これからどんな存在になっていってほしいかを教えてください。

田中:より遊び心を持ちながら、いい意味で少し不真面目な組織になっていけたらいいなと思っています。その上で、自分たちなりの美学やスタンス、価値観を、少しずつでも言葉にしていけたら、働くことはもっと豊かになるはずです。IGIならではのイズムや強みが、無理に主張するのではなく、自然と伝わっていく状態。「このスタイルが合うからIGIに相談している」と言ってもらえるような関係がさらに築けたら、クライアントにとっても、自分たちにとっても、心地よい仕事になると思っています。


取材・執筆:船寄 洋之

お問い合わせフォームは
コーポレートサイトへリンクします

たきコーポレーションへ移動
CLOSE