ブランドデザインカンパニー「IGI」- IGI Brand Design Partner
IGI Brand Design Partner

IGIでしか出せない世界観と強みで、選ばれ続ける存在に
Art Director / Designer 米山浩太郎さんインタビュー

2016年にたきコーポレーションへデザイナーとして入社した米山浩太郎さん。広告制作に携わった後、2018年からは大規模イベントのブランド開発部へデザイナーとして出向。現在はIGIでアートディレクター兼デザイナーとして活躍しています。広告から長期的なブランド構築へと活動の幅を広げてきた米山さんに、ブランディングの面白さやチームに感じる魅力、そしてこれからの目標について伺いました。


Speaker

米山 浩太郎Kotaro Yoneyama
2013年、桑沢デザイン研究所に入学。アートディレクターである浅葉克己氏のゼミに入り、タイポグラフィを中心にグラフィックデザインを学ぶ。卒業後、株式会社たき工房(現・株式会社たきコーポレーション)に入社。2018年に大規模イベントの組織へデザイナーとして出向後、2022年からIGIへ入り、企業のブランディングに携わる。昨今は趣味として始めたCGを用いて映像やビジュアルの制作を行うなど、活動の幅を広げている。

出向先で見つけた、ブランディングの面白さ

現在はデザインのお仕事をされていますが、もともとそういった分野はお好きだったんですか?

米山:もともと絵を描くのが好きな子どもでした。小学生や中学生の頃は、デザインの「デ」の字も知らない時期で、本当にただ絵や図画工作が好きだったんです。親や親戚から「描くの上手いね」「得意そうだね」と言われて育った、という感じです。そこが、自分にとってのデザイナーとしての原点だと思います。

そこから桑沢デザイン研究所を卒業し、2016年にたきコーポレーションにデザイナーとして入社します。学生時代に学んだことと、社会に出て実践することとでは、制作に関してのギャップはありましたか。

米山:ありましたね。学生の頃は、やっぱり授業じゃないですか。授業の中で想定するクライアントがいることもありましたけど、ハードルがあまりないというか、自分が「こうしたい」と思ったものを形にすればよくて、それで評価をもらう、そんな感じでした。

でも、仕事になるとやっぱり違います。当時は広告制作チームで、大きなクライアントのキャンペーンや広告媒体のグラフィックを数多く手がけていましたが、「こういう修正が来るんだな」という、時には意表を突くようなフィードバックもありました。特に今はクライアントと直接向き合う機会が主なので、多様な事情や背景を踏まえたフィードバックをいただくことも多く、それをどう解決していくか——その性質が、学生時代の授業とはまったく違うなと感じました。

その後、2018年に大規模イベントの組織へデザイナーとして出向されます。

米山:イベントのブランド開発部で、お客さまが実際に触れるタッチポイントのビジュアルアウトプットや核となるガイドライン制作を担当しました。広告から、ブランドを開発・管理するという性質の異なる仕事に変わり、当初は戸惑いもありましたが、「自分には合っている」と感じたんです。広告は長くても数か月、短ければ数週間で終わる、ちょっと刹那的なものですが、ブランドは長期的に核を作り、それをアウトプットとして管理し続ける。僕はどちらかというと合理的な性格なので、感覚ももちろん好きですが、そういったシステムとして成り立つ仕事に惹かれました。

そうしたブランドにまつわる仕事の魅力は、どんなところにありますか?

米山:やはり「核」を作る仕事だからこその面白さがあります。企業や組織の思いや理念をビジュアルに落とし込むことで、「こうなりますよね」「こういうビジュアルにすると、御社がお客さまに抱かせたいイメージが伝わると思います」といった提案ができる。それを形にして、さまざまなものに展開していく時が一番面白いですね。たとえば、メインビジュアルがグッズの鉛筆になると、「こうなるんだ」とか「同じビジュアルシステムを感じますね」といったふうに、並べて見られるのも楽しい瞬間です。

歴史をたどっていくとモチーフが見つかる

出向後はブランドデザイン室を経て、IGIのメンバーとして活躍されています。現在はアートディレクター兼デザイナーを務められていますが、具体的にはどんなお仕事をされていますか?

米山:アートディレクターは、あらゆるプロジェクトにおけるビジュアルフェーズの進行管理と、クオリティの管理。それから「どういうものを提案しましょうか」という方向性を決めて、みんなで一緒に作っていく旗振り役という感じです。

デザイナーは、本当に「形にしていく」という作業がメイン。お客さんが見た時に、例えば提案の中であれば、それがどう世の中にアウトプットされて届くのかを想像できるものをまず作る。それをちゃんと出力できるように形にする、というのがデザイナーの役割ですね。

出向先では、これまでとは全く異なる環境だったと思いますが、その経験を経て今、興味を持ったり、影響を受けたと実感することはありますか?

米山:ありますね。特に、日本の文化により興味を持つようになりました。出向先は国際的なイベントだったので、それを経て「日本のことをもっと知りたい」と思うようになったんです。今、日本は世界から人気があり、インバウンドも非常に多い。そうした人たちが来る中で、「自分は日本のことをちゃんと知っているのかな?」と感じました。そこから意識的に吸収するようになり、日本文化論などの本を読むようになったんです。文脈をたどるのが好きで、「なぜこれが今も残っているのだろう」という視点で見ています。日本文化論の本で読んだ風土論も、「なぜ日本はこういうカルチャーになったのか」という話につながっていて、面白いですね。


そういった視点は、仕事にも通じますか。

米山:通じますね。歴史をひも解くことで、その企業やブランドならではのモチーフが見えてくるんです。たとえば、ブランディングの提案では「御社にはこうした文脈がありますよね」とお伝えし、その歴史の中で使われてきたモチーフを参考にロゴをデザインしたりする。そうすることで、説得力はもちろん、見る人の共感も生まれると感じています。

変化を受け入れ、強みを磨き抜くチームへ

2022年からはIGIに在籍されていますが、IGIにはどのような印象をお持ちですか。

米山:「仲がいいな」と思います。みんな柔らかい人たちだし、とはいえスマートさもある。プロジェクトの関わり方を見ていても、賢さや洗練さを感じます。「これをやりたい」とか「こういうことをしたい」と言った時に、尊重してくれる空気がありますね。クライアントの真剣な思いを真面目に聞くことを日々やっていると、自然とそういう空気になるんだと思います。あと、なんとなくIGIって「水」みたいだな、とも思いますね。

水ですか?

米山:変化できるところが水っぽいなって思うんです。Aで進んでいたけど、急にBが出てきたらBもやって、やっぱりCにしてみるといいかもね……というように、ぐねぐねと変化しつつ最終的に収めていく。そうした柔らかな変性が、IGIの特徴でもあると感じます。

そんなIGIでの、米山さんの今後の目標を教えてください。

米山:AIの急速な進化で、今は誰でも簡単にアウトプットを生み出せる時代になったと強く感じています。だからこそ、これからは「自分にしか出せない世界観」をしっかり育てていきたいですね。いわゆる「誰々っぽい」と感じてもらえるような文体やスタイルが、これからの時代にはより一層価値を持つと思います。そういった世界観があれば、「考え方やクリエイティブへの姿勢に共感してお願いしたい」という仕事がきっと生まれる。それこそが、AI時代を生き抜くための一番の武器だと思っています。今は、自分がこれまで惹かれてきたものや好きだったものを丁寧に分解して、「なぜ好きなのか」を確かめながら、その世界観を言葉にできるヒントを探している最中です。

最後に、IGIは組織として、今後どうなっていきたいですか。

米山:ブランディングができる組織として、今は円グラフで言うと「なんでもまんべんなくできます」という感じで、幅広く対応できる状態です。それももちろん良いのですが、円グラフから突き抜けるくらい、とがった部分――例えばデザイン力は間違いなく武器としてあると思います。そこに加えて、それ以外の分野でも強みを増やしていければ、他社と比較したときに「IGIはここが得意だよね」と思ってもらえる部分がより明確になり、「頼むならここだ」と選ばれる存在になれるはずです。それをチームとして目指していきたいですね。


取材・執筆:船寄 洋之

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